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SHAREメルセデスEVの頂点「EQS」にいよいよAMG登場。Sクラス級の巨体が3.4秒で100キロまで加速…電池の減りは?
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:ダイムラーAG 69
AMGレースモードでは0-100km/h加速が3.8秒!
メルセデス・ベンツのBEV(電気自動車)の最上級モデル「EQS」にAMGバージョンが加わった。「メルセデスAMG EQS 53で」ある。カリフォルニアの試乗会に登場した新しいAMGはフロントのパナメリカーナグリルや大型化されたエアインテーク、左右のエアスプリッター、リアのリップスポイラーやディフューザー、そしてAMGヘリテージデザインの専用ホイール(標準で21、オプションは22インチ)などで存在感を高めている。Cd値は0.23と公表されている。
パワートレーンは前後の電気モーターで、常用時のシステム出力は658ps、最大トルクは900Nmを発生、AMG ダイナミックプラスモードでは761psと1020Nmを発生する。2.7トンのボディを0-100km/hまで 3.8秒で加速、最高速度は220km/hとなるが、AMGレースモードでは3.4秒、250km/hと発表されている。
この数値をEQSのトップモデルEQS 580と比べてみると、最高出力は523ps(+135ps)、最大トルク855Nm(+45Nm)で、0-100km/h 4.3秒(-0.5秒)、最高速度210km/h(+40km/h)と明らかな性能差を見せつける。まさに「ポルシェ タイカン」や「テスラ モデルS」などのハイパフォーマンスEVへの、AMG からの挑戦状と言えよう。
電気モーターの導線の巻き方やオイルクーラーをチューン
このパワーを得るためにAMGはエンジン車なら王道のカムやエグゾーストシステムの変更のかわりに、ステーターの形状変更やローターの銅線の巻き方といった電気モーターのチューン、トランスミッション(1速)のオイルクーラーなどで対応している。バッテリー容量はネットで107.8kWh、航続距離は529~586km(WLTPモード)と発表されている。
また充電能力は標準装備で11kW(オプションで22kW)、さらに200kWのDC急速充電システムでは15分で300kmの給電も可能だ。
ステアリングのスイッチ類の配置を簡略化してほしい
スクリーンがダッシュボード一杯に広がっているインテリアは基本的にはEQSと同じだが、コックピットのメニューはAMG専用、さらにAMGエンブレムが刻印されたヘッドレストをもつスポーツシートを始め、赤いステッチの入ったレザーとカーボントリムがスポーティでオリジナルな雰囲気を作っている。
コックピットに座ると下辺がフラットになったAMGスポーツステアリングホイールのスイッチの多さに驚く。セレクトレバーやライトスイッチなど走行に最低必要なものは少ないのだが、ADASを始め補助機能に関するタッチ&スライドスイッチやダイヤルが多く、もっと簡略化できないものかと思う。
2.7トンの巨体でも加速は強烈、ワインディングでは軽快
センターコンソールにあるドライブモードでコンフォートを選択してパームスプリングスのホテルを出発、しばらくハイウェイを走ると両側に風力発電塔が森のように果てしなく広がる発電所が見えてくる。まあEVドライバーには心強い風景だ。
頻繁に現れるハイウェイパトロールを警戒して、アダプティブクルーズコントロールをONにして前車に追従するが、スポーツシャーシにも関わらず快適そのものだ。やがて壮大な岩がゴロゴロしている山間部へ入ったのでスポーツモードを選択、さらにAMGサウンドをONにしてアクセルを踏み込む。
EQS 53は2.7トンの巨体にも関わらず僅かなドライブペダルの動きに反応。スポーツサウンドを車内と車外に響かせながら整備された山間部のワインディングロードを軽快に、そして意外なほど快適に疾走していく。ステアリングはシャープでフィードバックも正確、路面状況が手に取るようにわかる。
また最大9度までステアする後輪、さらに後輪駆動キャラクターな4WDシステムのお陰で全長5.2m、全幅1.93mの4ドアハッチバックサルーンは狭いコーナーも容易くクリアして行く。また、AMGダイナミックモードでのパワーは強烈な加速を見せ、あっという間に次のコーナーが迫るが、オプションのセラミックディスクブレーキのコントローラブルな制動力のお陰で安心してコーナーの進入と脱出が可能だ。
およそ400kmの行程でバッテリーは十分だったが…
およそ180マイル(約288km)ほど走って山間部を下り、再びハイウェイへ。バッテリー残量はまだ20%程度は残っており、およそ80マイル(約128km)先のゴール、マンハッタンビーチまでは問題なく走れることが分かり安心する。
もうガス欠ならぬ電欠を気にしないスペックの電気自動車が登場してきたのが実感されるが、これは法定最高速度が最高でも約120km/hのアメリカ、しかも温暖なカリフォルニアでのテストである。はたして速度制限の解除された厳寒のドイツ・アウトバーンでAMGパフォーマンスを楽しんだ場合にどうなるかは、まだ経験がないので結論は出せない。
ともあれ、このメルセデスAMG EQS 53の発売はドイツで2022年から、価格は15万2546ユーロ(19%のドイツ付加価値税込み、約1980)と発表されている。現時点での日本での発売時期や価格などは発表されていない。
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