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お手頃価格で手に入れたアルファロメオ 159、果たしてその乗り味は……
2018/12/13
中古の状態でもう一度乗ってみたかったアルファロメオ 159
今回、編集部の大脇デスクが持ち込んだ中古車はアルファロメオ 159。
オーナーは以前からカーセンサーのイベントで顔見知りの誠実な方だ。
だからというわけではないが自動車はオーナーによって乗り味が変わってくる。オーナーはこの中古の159をかなりお手頃な金額で購入したらしい。
私が最後に159を試乗したのは2008年の159TI。
サスペンションと19インチホイールのセットアップが絶妙なモデルで、中古車でももう一度乗ってみたい1台だ。
何といってもアルファロメオはデザインがいい
今回の試乗モデルは159 22JTS。
デザインは泣く子も黙るジョルジェット・ジウジアーロとアルファロメオのデザインセンター・チェントロスティーレによる逸品。
ボディ塗装のクオリティは当時の国産車よりもずっと高く、インテリアに至ってはソフトパッドを多用、レザーの使い方も非常に上手だった。
プラットフォームやエンジンの一部などがオペル ベクトラと共通だが、159にはベクトラの面影は全くない。
ボディはやや大きいが、デザインによって上手な変身を遂げたモデルだ。
10年近くが経過した159の試乗は、当時の新鮮さをあらためて感じられるうれしさと、経年による個体の変化を知れるよい機会だろう。
待ち合わせ場所に登場したのは真紅の159。
エンジンは静かで調子は良さそうだ。
特徴あるフロントをマジマジと見ながら、20代のときに乗っていた1965年製の1600スプリントGTを思い出した。
1600スプリントGTはベルトーネボディであったが、デザインは159と同じくジウジアーロである。
ヘッドライトが必要以上に内側に装着されていて、ボンネットフロント部に段があることから通称「段付き」と呼ばれたモデルだ。
これほど人気があって際立ったデザインの車はそうあるものではないだろう。
製品クオリティの高さを細部にまで感じる
ドアパネル裏や純外板と呼んでいる部分の塗装も素晴らしくキレイだ。
プレスラインもイイ。
国産車がこのレベルに達するのはいつの日になるのだろうかというくらいのクオリティだ。
骨格はドイツでも外装を作り上げてきたカロッツェリアの設計。彼の腕前は本当に素晴らしい。
フィアットグループは早い段階からマットなツヤとソフトな雰囲気を醸し出すソフトコーティングをインテリアの随所に施している。
ただ、これが古くなると表面がベタベタになってしまうのだが、この車はオーナーがキレイに除去していたようだ。
この159もアルファロメオ感はまったく衰えていない
レザーシートはヘタリもなく頼もしい。
エンジンはオペル製のブロックにアルファロメオのDNAを投入したシリンダーヘッドを使用したもの。
エンジンに火を入れるとそれはおとなしく目覚めた。
6速MTは今風のスポーティなショートストロークではないが操作は容易だ。
クラッチのプレッシャープレートがヘタリ気味に感じたが、これは消耗品であるからそれほどの金額をかけなくても交換修理は可能だろう。
穏やかなエンジンに神経質な側面は皆無。
吹け上がりに特段シャープさはないものの、アルファロメオ専用設計のシリンダーヘッドということで、喝を入れて2速で高回転域まで回してみた。
ドイツ車とはまるで違うエンジン音がコレまたいい感じだ。
独特なエグゾーストノートにより低音が効いている。
乗り心地は若干フワフワな感じもするが、総じて悪くなくヤレた感じはしない。
ステアリングを切った瞬間に俊敏に動くセッティングはそのままだ。
これこそアルファロメオの真骨頂といえるだろう。
159も伝統を重んじるヨーロッパらしさを感じられる1台だ
1960年代の105系から脈々と続くアルファロメオの味付けは、積み重ねた歴史によって玄人好みの進化を果たしている。
実にモノを大切にするヨーロッパらしい車だ。
特にイタリア車はそのあたりの「人が伝えた感覚」を大切にしていると思う。
全体的に大味にはなったものの、159はやはりアルファロメオなのだ。
FRまでが本当のアルファロメオだという方もいるし、先代までがアルファロメオらしいエンジン音なのだという方もいる。
しかしアルファロメオで作っている以上、アルファロメオならではの味わいは159でも健在なのである。
photo/篠原晃一
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