ホンダ インサイト ▲代を重ねるごとにボディタイプを変えてきたインサイトは3代目でセダンとなったが、ハイブリッド専売車であることは不変

3代目で幕を閉じるハイブリッドカー

ホンダ インサイトは、初代は2シーターの3ドアハッチバックで燃費スペシャル、2代目は打倒プリウスを掲げた5ドアハッチバック、そして3代目モデルでは落ち着いた雰囲気の4ドアセダンとボディタイプを代ごとに変化させてきました。

そんな歴代インサイトに共通することといえば、どの世代のモデルもハイブリッド専売車であったということでした。

しかし、3代目モデルも2022年夏に終売となることが決定しており、実質的な後継車種であるシビックe:HEVが登場したことで、いったんその歴史に終止符を打つこととなりました。

ホンダ インサイト ▲セダン不遇の時代ではあるが、車としての仕上がりは上々で登場時の評価も高かった

現状では人気車種とまでは言えない3代目インサイトでしたが、国産ミドルクラスのセダン型ハイブリッド車となるとインサイトの他はMAZDA3セダンくらいしか存在していないため、終売する前に新車を検討している人もいるかもしれません。

しかし、今の段階で新車を考える前に「オトクに狙える中古車」を見てみてはいかがでしょうか?

現段階では終売の影響もみられず、順調に買いやすい価格帯となっています。

新車時価格は326.2万~372.9万円となかなか高級なモデルですが、執筆時点の中古車平均価格は278.5万円と300万円を大きく下回っている状況。

加えて、走行距離が5000km以下といったような、新車に近い状態の物件も複数存在しています。

そういった理由から、ぜひ中古車もチェックしてみてほしいということなのです。

 

装備充実のハイブリッド専用モデル

では、改めて3代目インサイトはどんな車だったのか振り返ってみましょう。

2018年12月に日本で発売が開始された3代目インサイトは、クーペスタイルをもった4ドアセダンとなっており、基本プラットフォームは10代目シビックと共有しています。

ただ、アグレッシブなデザインを採用したシビックに対してインサイトは落ち着いた雰囲気のルックスとなっており、内装のデザインも専用のもので、シビックよりもやや上級車種という位置づけとなっていました。

ホンダ インサイト ▲クーペスタイルのスタイリッシュな4ドアセダンとなっており、トランク容量はゴルフバッグ4個を積載可能な519L

パワートレインは1.5Lエンジンと2つのモーターを組み合わせた「SPORT HYBRID i-MMD(マイナーチェンジのタイミングで「e:HEV」へ改称)」を搭載し、カタログ燃費はLXグレードで28.4km/L(WLTCモード燃費)という低燃費を実現していました。

このハイブリッドシステムは、普段の街乗りではエンジンは発電に徹してモーターのみでの走行をし、モーターが苦手とする高速域ではエンジンが駆動に直結して低燃費走行を実現するという、それぞれの長所を生かしたシステムとなっています。

これは、現在のホンダのハイブリッド車の旗艦となるものとなっています。

ホンダ インサイト ▲ガソリン車とハイブリッド車のいいところだけを併せもったハイブリッドシステムを搭載。バッテリーはリアシート下に搭載して広い室内も実現

そして、このクラスの前輪駆動車としては珍しくリアサスペンションにマルチリンク式を採用し、ハンドリング性能を向上させる制御システムである「アジャイルハンドリングアシスト」も搭載することで、ホンダ車らしいスポーティな走りも両立している点も特徴と言えるでしょう。

また、セダンタイプのハイブリッド車として珍しく、リアシートが6:4の分割可倒式となっており、トランクスルーが可能というのも隠れた特徴となっています。

ホンダ インサイト ▲高さのある荷物は厳しいが、トランクスルーによって長尺物の積載も可能というのはハイブリッドセダンとしては珍しい

そんなインサイトのグレードは、下から「LX」「EX」「EX・ブラックスタイル」の3タイプでスタート。

どのグレードでもパワートレインは共通で、装備も先進安全である「Honda SENSING」や、8インチナビゲーション、ETC2.0、バックカメラ、左右独立式フルオートエアコン、前席シートヒーターなどは標準装備となっており、車の機能としての装備差はほとんどない点が特徴です。

ホンダ インサイト ▲8インチナビやETC2.0、バックカメラなど、他車種のベースグレードでは標準装備されないことが多いアイテムも全グレードで標準装備となる

また、2020年5月にマイナーチェンジを実施していますが、前述したようにハイブリッドシステムの名称を「e:HEV」へ改称したものの、パワートレイン自体には変更はなく、内外装のデザインも変更はなし。

新グレードとして専用カラーの内装色をもった「EX プライムスタイル」が追加された点と「EX ブラックスタイル」のホイールが18インチへと大型化された点がおもな変更点となっていました。

ホンダ インサイト ▲「EX ブラックスタイル」ではブラッククロームのグリルなどでスポーティな装いとなっており、マイナーチェンジ後のモデルには18インチホイールが新たに採用された

では、そんな装備充実かつ初期型でも古く見えない3代目インサイトを狙うなら、どんなモデルがオススメなのでしょうか? 以下、考えていきたいと思います。

 

低走行狙いなら、330万円前後の走行距離5000km以下物件を!

新車を検討している人にオススメしたいのが、走行距離5000km以下のほとんど使われていない物件たちです。

このあたりの物件の多くは、「試乗車」などの表記があることからディーラーの試乗車上がりだということがわかります。しっかりとした整備や保証が付いている点も魅力的です。

また、試乗車の特徴として装備が充実した上級グレードが採用されることが多いのですが、インサイトについてもそれが当てはまり、EX以上のグレードの車両が中心となる点も見逃せません。

ホンダ インサイト ▲試乗車アップの物件は上級グレードが中心となるのも魅力的

そんな低走行の3代目インサイトは、ほとんどが2021~2022年式となり、支払総額は330万円前後が中心となっています。

EXグレードだと新車車両本体価格だけで約350万円となっているので、数十万円も支払総額で差が出るということになるのです。

中古車ゆえボディカラーやオプション装備の有無などに制限はありますが、一度チェックしてみる価値は大いにあると言えるでしょう。

▼検索条件

ホンダ インサイト(3代目) ×走行距離5000km以下×全国
 

安さ重視なら、250万円台でも狙える初期型の「LX」がオススメ

標準装備が充実したハイブリッドモデルということで、LXグレードでも新車時車両本体価格は330万円ほどとなっていた3代目インサイト。

しかし、初期型の中古車となると、総額250万円台で狙うことができる物件もチラホラ存在するようになってきました。諸経費などを考えると、実に100万円近く安く買える計算になります。

ホンダ インサイト ▲こちらがベースグレードの「LX」となるが、ホイールが16インチとなる以外、外観での大きな違いはなし

中には走行距離5万km超の年式から考えるとやや多走行気味な車両も存在しますが、3万km台以下の年式相応の物件も複数存在しており、買い得感が高いと言えるのではないでしょうか。

また、前述したようにナビやETC2.0、バックカメラまでもが標準装備となっているため、追加で装着するアクセサリー類が少なくて済むという点も美点となるでしょう。

エントリーグレードとはいえ、十分に満足できるものと言えるはずです。

▼検索条件

ホンダ インサイト(3代目) ×LX×2018年12月~2020年4月生産モデル×全国
 

ひと味違うものがいいなら、「EX プライムスタイル」を!

全高の低いクーペスタイルのセダンであるインサイトは、基本的にスポーティさを演出する黒系の内装色となっていますが、2020年5月のマイナーチェンジで追加された「EX プライムスタイル」はアイボリーの明るい内装色となっている点が最大の特徴となっています。

アイボリー色が使われているのは本革とウルトラスエードのシートだけではなく、ドアトリムやダッシュパッド、センターコンソールリッドなど多岐にわたっており、明るい印象の内装は室内を広く見せてくれる効果も期待できそうです。

ホンダ インサイト ▲後期型のみに設定された「EX プライムスタイル」は、インサイトで唯一アイボリー系の明るい内装をもつ

そんなEX プライムスタイルは、後期型のみの設定ということで執筆時点ではたった1台のみの掲載となっていました。

しかし、低走行のEXとそこまで変わらない300万円台前半の価格となっていたため、こまめにチェックしていればオトクな物件に巡り合うことができるかもしれません。

▼検索条件

ホンダ インサイト(3代目) ×EX プライムスタイル×全国

今回ご紹介したホンダのハイブリッドセダンである3代目インサイト。

車としては非常に魅力あふれるもので装備も充実した1台なのですが、日本では不人気となってしまったセダン型ということで非常に買いやすい価格となっていました。

そのため、セダンが欲しいと考えている人にとっては非常に魅力的なモデルと言えるのではないでしょうか。

▼検索条件

ホンダ インサイト(3代目) ×全国
文/小鮒康一 写真/ホンダ
小鮒康一(こぶなこういち)

自動車ライター

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車のリーフを買ってしまう暴挙に出る。現在はリーフを手放し3代目インサイトをメインに、NA、NB2台のロードスターや初代パルサー、S660に17系クラウンなど雑多な車種を所有中。