CX-5▲電気自動車(EV)専門の自動車メーカーであるテスラ。中古車市場での流通量や相場はどうなっているのか紹介する

中古で買えるテスラの全モデルを紹介

世界に先駆けて、スポーツカーやクロスオーバーSUVのEVを専門に手がけてきたのが、アメリカの新興自動車メーカーであるテスラだ。

従来の車好きだけでなく、新しいモノ好きを惹き付ける商品作りが見事に成功。2008年のロードスターを発売以来、オートパイロットなど先進的な運転支援機能、自動でアップデートするシステム、長い航続距離と強力なパワーを武器に、世界中でファンを獲得してきた。

当記事のテーマでは、気になるテスラ車の価格帯と、各モデルの紹介および中古車事情、保証内容やリセールなどについても紹介していく。
 

 

テスラ現行4種種の最新価格一覧

日本に導入されているテスラ車は全部で4車種。セダンのモデル3とモデルS、クロスオーバーSUVのモデルXとモデルYというラインナップだ。いずれもひと目でテスラと分かる内外装のデザイン、オートパイロットなどの先進運転支援機能を備えている。

そんなテスラ4モデルの車両価格帯は以下のとおり(2024年8月末時点)。なお、新車は現行のモデル、中古車はカーセンサーも掲載される全年式の車両価格帯としている。
 

車種名 新車時の車両価格帯 中古車の車両価格帯
モデル3 531.3万~725.9万円 260万~550.5万円
モデルY 533.7万~697.9万円 389万~750.8万円
モデルS 1266.9万~1566.9万円 180万~1580万円
モデルX 1416.9万~1636.99万円 427.8万~1600万円
車種名 新車時の車両価格帯 中古車の車両価格帯
モデル3 531.3万~725.9万円 260万~550.5万円
モデルY 533.7万~697.9万円 389万~750.8万円
モデルS 1266.9万~1566.9万円 180万~1580万円
モデルX 1416.9万~1636.99万円 427.8万~1600万円
 

【モデル紹介】テスラ モデル3

 テスラ モデル3 ▲フロントグリルのない外観はいかにも未来的だ

モデル3は2017年から生産されているコンパクトな5人乗りセダンだ。日本には2019年から導入開始されている。

“コンパクト”と言ってもアメリカのセダンと比較した場合であり、1850mmという全幅は16代目クラウンのクロスオーバーよりも広い。国産ならラージクラスに入る大きさと理解するべきだろう。リアオーバーハングは短いが、リアだけでなくフロントにもトランクが設けられており、荷室容量は十分だ。

スマホを使って解錠する仕組み、メーターやスイッチ類を極力なくし、操作のほとんどを15インチタッチスクリーンで行うところなどは未来感たっぷり。全面ガラスルーフの採用で、車内はオープンカーのような開放感がある。

現在の新車ラインナップは下記の3グレードとなっている。

・RWD:リア二輪駆動のエントリーグレード
・ロングレンジ:航続距離重視のデュアルモーター&4WD仕様
・パフォーマンス:加速性能重視のデュアルモーター&4WD仕様

モーター出力や駆動用バッテリー容量は年々改良され続け、ハイスペックのパフォーマンスでは現在0-100km加速3.1秒という俊足ぶり。航続距離もロングレンジなら一充電あたり706kmと実用性も抜群だ。
 

 テスラ モデル3 ▲中央に大きなタッチスクリーンがあるだけのシンプルなインテリア

カーセンサーでの中古車台数は約135台と比較的豊富。年式で見ると、デビュー時の2019~2022年式が多く、2023~2024年式は少なめとなっている。

気になる車両価格帯は260万~550.5万円で、総額での270万~575万円。走行距離3万kmの物件を総額320万円前後から狙える。

2024年式は高値で安定しているが、2023年式なら走行距離0.8kmのロングレンジが総額415万円で見つけられる。テスラの人気やブランド価値を踏まえれば、中古車としてかなり“おいしい”状況と言えるだろう。
 

▼検索条件

テスラ モデル3(初代) × 全国

【2024年式モデル3の注目データ】
ボディサイズ:全長4720~4724mm×全幅1850mm×全高1431~1440mm
最低地上高:128~138mm
車両重量:1765~1850kg
乗車定員:5名
最大貨物積載量(5名乗車時):682L
駆動方式:RWD/デュアルモーターAWD
モーター最高出力:264~466ps
0-100km/h加速:3.1~6.1秒
一充電走行距離(WLTCモード):573~610km
新車時の車両価格帯:531.3万~725.9万円
 

 

【モデル紹介】テスラ モデルY

 テスラ モデルY ▲雨や積雪路、泥濘地でスリップを防ぐためのトラクションコンロールを装備

モデルYは、モデル3がベースのクロスオーバーSUVだ。フロントグリルのないマスクなど、外観イメージもモデル3に極めて近い。日本に導入されているテスラ車では最も新しいモデルとなる。

ボディサイズは全長4760mm×全幅1925mm×全高1625mmで、モデル3より一回りほど拡大されている。ただ、同じクロスオーバーSUVのモデルXと比べるとコンパクト。同クラスの輸入SUVと同様に、日本でも問題なく取り回すことができるだろう。

2列シート5人乗り仕様のみだが、後席シートバックが3分割で倒せる構造となっており、荷室の使い勝手は悪くない。

現行のグレード構成はモデル3と同様で、下記のとおりだ。

・RWD:リア二輪駆動
・ロングレンジAWD:航続距離重視のデュアルモーター&4WD仕様
・パフォーマンス:加速性能重視のデュアルモーター&4WD仕様

パフォーマンスの0-100km加速タイムは3.7秒で、クロスオーバーSUVとしては驚異的。航続距離もロングレンジで一充電あたり605km、最も短いRWDでも507kmと、日常で困ることはないだろう。

もちろんオートパイロットなどの先進運転支援機能も標準装備。自動で駐車してくれるオートパーキングや、自動で他車を追い越してくれる「オートレーンチェンジ」、無人操縦でオーナーの元まで来てくれる「エンハンストサモン」などの機能もオプションで追加できる。こうした点もモデル3同様だ。
 

テスラ モデルY ▲インテリアのデザインはモデル3とほぼ同じ。メーターやレバー、スイッチ類がほとんど見当たらない

カーセンサー掲載台数は約50台。半数以上が2022年式で、2024年式はまだ未掲載となっている。

車両価格帯は389万~750.8万円で、総額では403万~767.9万円。走行距離2万km以下の物件を総額430万円前後から狙える。

上級グレードのパフォーマンスだと総額590万円以上となるが、スタンダードグレードのRWDなら総額400万円台でも購入圏内。憧れのテスラ最新モデルがこの価格で手に入るなら明らかにオトクだろう。

▼検索条件

テスラ モデルY(初代) × 全国

【2024年式モデルYの注目データ】
ボディサイズ:全長4760mm×全幅1925mm×全高1625mm
最低地上高:157~172mm
車両重量:1930~2000kg
乗車定員:5名
最大貨物積載量(5名乗車時):971L
駆動方式:RWD/デュアルモーターAWD
モーター最高出力:メーカー非公開
0-100km/h加速:3.7~6.9秒
一充電走行距離(WLTCモード):507~605km
新車時の車両価格帯:533.7万~697.9万円
 

 

【モデル紹介】テスラ モデルS

テスラ モデルS ▲モデルSはリアをハッチバック形状としたセダン。存在感あるボディサイズだ

テスラ最初のモデルであるロードスターは、ロータスから供給されたシャシーがベースだった。対して、2012年に登場したモデルSは100%テスラが手がけた「自社生産第1号」となっている。

シャープで隙のない外観デザインは、いかにも未来の電動カーといった面持ち。引き締まって見えるが、実際のボディサイズは大柄で、現行のモデルでは全長5mを超えている。ハッチバックセダンとしては荷室が広く、自転車のタイヤを外さずにそのまま積むことができる。

インテリアでは、17インチタッチスクリーンや、ジェット機にある操縦桿のようなヨークステアリングなどを採用。もちろんオートパイロットなどの先進運転支援機能も他モデル同様に備わっている。

デビュー当初はシングルモーター・リア二輪駆動仕様のみだったが、2014年にフロントにもモーターを搭載するAWD仕様が追加。パワーユニットはその後も手直しされ続け、現在はデュアルモーター仕様の「モデルS」と、モーターをさらに1個追加したトライモーター仕様の「モデルSプラッド」の2モデルとなっている。

加速性能はテスラの中でもトップで、モデルSプラッドは0-100km加速をたった2.1秒。世界有数の加速力を誇っている。
 

 テスラ モデルS ▲前席だけでなく後席にもタッチスクリーンが備わる、先進的なインテリア

カーセンサー掲載の中古車は約40台。年式で見ると2014~2020年式がほとんどで、以降は2023年式が数台ほど掲載されている。

早い時期から日本導入されている車種だけあって、年式が古い物件なら比較的リーズナブルな価格で狙えるのが、中古車市場でのモデルSの魅力だろう。

車両価格帯は180万~1580万円で、総額では190万~1600万円。2023年式はいずれも1000万円オーバーだが、2014~2018年式なら走行距離5万km以下の物件が総額310万円前後から見つけることが可能だ。

なお、2014~2019年式の物件は「P100D」などと記載されているが、「P」は高性能版、「100」はバッテリー容量、「D」はデュアルモーターを示す。75Dなら「バッテリー容量75kWのデュアルモーター車」を意味している。年式の古い中古車をターゲットとするなら、覚えておこう。
 

▼検索条件

テスラ モデルS(初代) × 全国

【2024年式モデルSの注目データ】
ボディサイズ:全長5021mm×全幅1987mm×全高1431~1478mm(設定によって変更可能)
最低地上高:117~158mm(設定によって変更可能)
車両重量:2100~2190kg
乗車定員:5名
最大貨物積載量(5名乗車時):798L
駆動方式:デュアルモーターAWD/トライモーターAWD
モーター最高出力:679~1034ps
0-100km/h加速:2.1~3.2秒
一充電走行距離(WLTCモード):600~634km
新車時の車両価格帯:1266.9万~1566.9万円
 

 

【モデル紹介】テスラ モデルX

テスラ モデルX ▲20~22インチの大径タイヤが装着され、クロスオーバーSUVのスタイルに仕上げられたモデルX

ロードスター、モデルSに続いて、2015年にデビューしたのがモデルX。テスラ初のSUVで、その外観はモデルSなどと同様に洗練されている。

ボディサイズは全長5057mm×全幅1999mm×全高1680mmで、設定によって全高を1740mmまで高めることが可能。遠目からだと5ドアハッチバックのように見えるスタイルだが、ラージサイズSUVにふさわしい迫力を備えている。

最大の特徴は、リアドアが真上に開く「ファルコンウイングドア」だろう。後席&サードシートへの乗降性を良くするための機構で、開口部が抜群に広く、しかも電動で乗り降りしやすい。

モデルS同様にヨークステアリング(通常のステアリングも選択可能)を採用し、メーターの視認性も向上。その他にも独創的な機構が数多く導入されている。また、オプションで3列目シートを追加できるのもメリットだろう。

現行のグレード構成は、デュアルモーター仕様の「モデルX」と、モーターを1個追加したトライモーター仕様の「モデルXプラッド」の2種類。後者は0-100km加速2.6秒と、動力性能も同クラスの中でずば抜けている。
 

テスラ モデルX ▲日本ではラージクラスに入る大きさだけに車内は広々。3列目シートはレス仕様、2人掛け仕様、3人掛け仕様がある

カーセンサー掲載の中古車は約35台。年式別に見るとモデルSと似た状況で、2017年~2020年がほとんど。2023年式は数台となっている。

車両価格帯は427.8万~1600万円で、総額では439.8万~1640万円。モデルSよりも新車時価格が高く、後発なだけあって中古車でも相応の価格となっている。

しかし、それでも走行距離5万以下の物件が総額450万円~550万円でも見つけられる。EV市場をリードするテスラの現行フラッグシップSUVであることを思えば、かなりオトクと言えるだろう。
 

▼検索条件

テスラ モデルX(初代) × 全国

【2024年式モデルXの注目データ】
ボディサイズ:全長5057mm×全幅1999mm×全高1680~1740mm(設定によって変更可能)
最低地上高:146~206mm(設定によって変更可能)
車両重量:2390~2470kg
乗車定員:5~7名
最大貨物積載量(5名乗車時):1233L(3列仕様は608L)
駆動方式:デュアルモーターAWD/トライモーターAWD
モーター最高出力:679~1034ps
0-100km/h加速:2.6~3.9秒
一充電走行距離(WLTCモード):543~576km
新車時の車両価格帯:1416.9万~1636.99万円
 

 

テスラを中古で買った際の税金優遇は?

テスラはどのモデルも電気だけで駆動するピュアEVだ。EVにはエコカー減税やグリーン化特例といった免税措置もしくは減税が適用。環境性能割も優遇されている。

税目ごとの減税内容は下記のとおり。恩恵を受けられる中古車も少なくないだろう。

エコカー減税
EVは初回(初度登録時)と2回目の自動車重量税が非課税となる。

グリーン化特例
2026年4月までに新車を初度登録した場合、EVは初度登録翌年の自動車税がおおむね75%減税される。

環境性能割
従来の自動車取得税に相当する税金で、EVは非課税となる。
 

 

現行4車種以外にもテスラ車はある?

現行4車種以外にも、テスラ車は存在する。まず、前述したロードスター。初代は2008~2012年に生産され、日本にも導入されていた。2代目は2017年にプロトタイプが公開されているが、生産延期を繰り返しつつも、2025年のリリースが予告されている。

また、本国であるアメリカではピックアップトラックのサイバートラックやトラックのセミを展開。両モデルともEVで、テスラらしいデザインにまとめられている。
 

テスラ セミ ▲こちらがセミ。アメリカでは販売済みで、2024年3月にドイツ・ベルリンでの生産が発表されている

現状では日本での発売は未定となっているものの、サイバートラックは2024年に展示車両がお披露目されている。注目度の高い車種だけに、日本への導入を期待したいところだ。
 

テスラ サイバートラック ▲こちらがサイバートラック。テスラジャパンのHPにスペックなどが掲載されているため、導入の可能性はゼロではないだろう
 

テスラ車にも保証は付く?

テスラの正規ディーラーで購入した新車については、下記の新車限定保証が適用される。国産車と比較しても充実した保証内容だ。もちろん、その車両を中古車として購入した場合にも保証が引き継がれる。

基本車両限定保証
車両本体について、4年または8万km(いずれか早い方)までを保証。

補助拘束装置限定保証
エアバッグなどの部品について、5年間または10万km(いずれか早い方)までを保証。

バッテリーおよびドライブユニット限定保証
駆動用バッテリーとドライブユニットを保証。内容は下記のとおりモデル、グレードごとに異なる。
 

車種 グレード 保証内容
モデル3/モデルY RWD 8年または16万kmまで、 70%のバッテリー容量を保証
ロングレンジ 8年または19万2000kmまで、 70%のバッテリー容量を保証
パフォーマンス
モデルS/モデルX 全グレード 8年または24万kmまで、 70%のバッテリー容量を保証
車種 グレード 保証内容
モデル3/モデルY RWD 8年または16万kmまで、 70%のバッテリー容量を保証
ロングレンジ 8年または19万2000kmまで、 70%のバッテリー容量を保証
パフォーマンス
モデルS/モデルX 全グレード 8年または24万kmまで、 70%のバッテリー容量を保証

また、テスラでは認定中古車限定保証も用意している。いずれにせよ中古車を購入する際は、保証期間が残っているか要確認。なお、並行輸入車は対象外なので注意したい。

認定中古車限定保証
基本車両限定保証の残期間に加え、期間終了1年間または2万km(いずれか早い方)までを保証。基本車両限定保証の有効期限がすでに切れている物件なら、納車日から1年間または2万km(いずれか早い方)までの保証が適用される。
 

 

急速充電には対応している?

テスラ各モデルはいずれも急速充電に対応している。ある「スーパーチャージャー」と呼ばれるテスラ車専用の急速充電スポットを日本国内に約120ヵ所以上(2024年7月時点)も設置。最大275km分、満充電の80%相当分をわずか15分間で充電できる。

また公共の急速充電ネットワークであるCHAdeMOも専用アダプターを介して利用可能。最大125km分を30分ほどで充電できる。
 

 テスラ スーパーチャージャー ▲スーパーチャージャーはテスラ車専用。急速充電の待ち時間も少ない
 

テスラ車のリセールバリューはどう?

高級車の価格帯となるテスラは、リセールバリューも気になるところだ。中古車市場での相場はいずれのモデルも、年式や走行距離に応じて順当に下がっていく傾向にある。その状況から推測する限り、下取り価格も悪くなさそうだ。

今の中古車相場を見る限り逆にプレミアムな価値が付くことも少ない。さらに、他の輸入車と同様に現行モデルは高値安定だが、年式が古くなるとお手頃価格となっている。このことからも、テスラ車のリセールバリューは一般的な輸入車並みと考えて良いだろう。

ただ、最近では多くのブランドがEVに注力し始めている。EV市場におけるトップランナーであるテスラの優位性はいまだ健在だが、今後どうなっていくか分からない。リセールバリューを考慮してテスラ車を購入する際は、その点も念頭に入れておこう。

ちなみにテスラでは、自社サイト内での下取りサービスを実施している。
 

※記事内の情報は2024年8月30日時点のものです。
 

文/田端邦彦 写真/テスラ
田端邦彦(たばたくにひこ)

自動車ライター

田端邦彦

自動車専門誌で編集長を経験後、住宅、コミュニティ、ライフスタイル、サイエンスなど様々なジャンルでライターとして活動。車が大好きだけどメカオタクにあらず。車と生活の楽しいカンケーを日々探求している。プライベートでは公園で、オフィスで、自宅でキャンプしちゃうプロジェクトの運営にも参加。