日産 スカイラインGT-R最安値物件

32スカイラインGT-Rの中古車平均価格は700万円超え……もはや手が届かないのか?

車好きの方々には今更な話になるが、彼の名車 R32 日産 スカイラインGT-Rは日本国内だけにとどまらず、海外でもすさまじい人気である。

そのため、中古車価格は日に日に高騰しており、本稿執筆時点での平均価格は700.6万円。コンディション良好な物件は1000万円を超えるものもあり、さらには「価格応談」物件も多いため、実際にはもっと高額になるはずだ。
 

カーセンサーnet ▲ごのとおり、R32 スカイラインGT-Rの中古車平均価格は約700万円。これは新車時価格を大きく超えている

およそ30年以上前のモデルとしてはかなり高額な中古車であり、残念ながら非常に手が届きにくい存在になってしまった。

それでも「いつかは乗ってみたい!」と思う人も多いはず。何を隠そう、カーセンサー編集部の筆者もその一人だ。

なんとかならないものかと、いつものようにR32 スカイラインGT-Rの中古車を見ていると、当たり前だが平均価格を大きく下回る物件もいくつか掲載されている。

そして、車両本体価格476.0万円、支払総額で489.0万円と平均価格よりもだいぶ安い最安物件(2024年8月9日時点)が目に入った。いや、普通の車と比較すれば高いは高いのだが、それでもなんとかギリギリ手が届きそうな価格だ。
 

カーセンサーnet ▲総額を安い順にソートすると、こちらの物件が最も安かった ※2024年8月9日時点

しかし、同時に「最安物件には何か致命的な理由があるのではないか?」「ボロボロで使い物にならないのではないか?」 といった疑念が生まれたのも事実。

だったらこの目で直接見てみよう! ということで、カーセンサーで最安値のR32 スカイラインGT-Rを見てくることにした。
 

 

【物件概要】カーセンサーの最安物件は489.0万円! これならギリギリ手が届きそう

さて、まずはこの最安R32 GT-Rの物件情報をカーセンサーで確認してみよう。
 

カーセンサーnet

日産 スカイラインGT-R(R32型)
同色全塗装済(ガンメタリック) R34純正AW Aftermarketマフラー

支払総額:489.0万円
車両本体価格:476.0万円
年式:1990年(平成2年)
走行距離:14.3万km
修復歴:あり
法定整備:なし
保証:なし
 

Bose

掲載販売店

アップル宇都宮外環若草店 (株)KSファクトリー

アップルと聞くと買取専門店とイメージを持たれがちですが、当店は販売にも力を入れております。 お客様から買取をさせていただいたお車やスカイラインなどのスポーツカーも多く展示させていただいております。 系列店ではランドクルーザーやサファリなどSUV車の販売・カスタムも行っております。 もちろん新車の取り扱いもありますのでなんでもご相談ください!!

写真を見た感じなかなかコンディションも良さそう。そして、R32 GT-Rの中古車はバリバリにカスタムされたものも多いのだが、こちらの物件はアルミホイールとAftermarketマフラー、エアクリーナー程度で、それ以外はほとんど純正と言ってよさそう。

1990年式ということで初期型モデルで、ベースグレードのようだ。

そして、34年前という年式を考えると14.3万kmと走行距離はかなり少なめ。気になるのは「修復歴あり」という点だろうか。

カーセンサーの掲載情報からわかるのは、おおよそこんな感じ。

高年式の中古車であれば、正直これだけの情報だけでも十分に検討することができそうだが、いかんせん今回のR32GT-Rは34年落ちの「最安」物件。やはり実車を見てみないとわからないことは多い。


 

 

【実車チェック】見に行った最安のR32 GT-Rはこんな物件だった!

では、いよいよ最安物件を見てみよう。今回はKSファクトリーの岩本社長に、安いR32 GT-Rの注意すべき点を教えてもらいつつ、実際の物件を見せてもらった。
 

日産 スカイラインGT-R ▲最安のR32 GT-Rに、いざご対面!
日産 スカイラインGT-R ▲思ったよりも外観はキレイだと感じた。そしてR34 GT-Rの純正アルミホイールが、想像以上にキマってる!

ーーこちらのR32 GT-Rですが、8月9日時点でカーセンサーで一番安い物件でした! いきなり本題に入りますが……安さの理由ってなんでしょうか?
 

岩本さん
Bose

一番大きな理由は、「タイミング」だと思います。中古車はオートオークションだったり、お客様から直接買い取るなどして仕入れるのですが、安く仕入れることができればその分お安く販売できるという、至極当たり前な理由ですね。

特にR32 GT-Rのような車は、価格が高騰しているのは間違いないのですが、同じような個体でもタイミングによって価格差が出やすいんです。この物件に関しては、偶然安く仕入れることができたので、安く販売できるってことです。

もちろんビジネスなので、販売店側がどれくらい利益を取るかによっても販売価格が変わってきます。企業努力ってやつですね。

また、例えば弊社のように独自の整備工場を持っていれば、購入後も長くお付き合いさせていただくことが多いので、その分中古車の販売価格を下げることができますね。

プライスボード ▲安さの理由の一つは、仕入れのタイミング!?

ーーなるほど。つまり、同じようなコンディションの物件でも、タイミングによって価格差が出やすいということ。今回の物件も安く仕入れることができたから安いんですね。正直、最安値の物件は「なんかネガティブな理由があるのでは? ボロボロなのでは?」といった不安がありました。(偏見スミマセン……)
 

岩本さん
Bose

確かに安かろう悪かろうと思われるお客さまもいらっしゃいます。でも、R32 GT-Rの中古車は400万円台~700万円くらいまでの物件については、正直そこまでコンディションに差がないことが多いです。

なので、検討される際は価格が高いか安いかだけでなく、少なくとも3台は実車確認、つまりお店に足を運ぶことをオススメします。

とはいえ、やっぱりこれだけ昔の車だと、ボロボロではないにしてもピカピカなことは非常に希です。多少のキズや塗装はがれ、小さなサビなどはほぼ間違いなくあります。もちろんガレージ保管のバリモノなんかも出回ることがありますが、1000万円は余裕で超えちゃいますよね。

ロードスター ▲こちらの物件も、サイドシル部分にややサビが出ていた。どこまで許容できるかは、各自判断が必要だ

ーー「修復歴」の有無はどのように考えればよいでしょうか? 今回の物件もそうですが、「修復歴あり」と聞くと身構えてしてしまうのも事実です……。 これも安さの理由でしょうか?
 

岩本さん
サイドシル

修復の度合いによります。軽微なものであれば、そこまで気にする必要はないかと思います。今の技術だと、昔のように「まっすぐ走らない」みたいなことはかなり少なくなりました。

30年以上前の車ですから、何もしなくても車体が歪んでいるものもあったりするので、場合によっては「きちんと修復されいる」個体の方が、カチッとした走りをしてくれることもあります。

そして、修復歴の有無によって大きく価格が変わる車種でもないので、一概にNGにするのはもったいないです。

ただし、GT-Rという人気車種ゆえ、通常は廃車になってしまうくらいグチャグチャの事故車でも直して安く販売するというケースもあるため、どの程度の修復なのかは販売店に確認することをオススメします。

修復箇所 ▲右フロント部分に修復歴があるようだが、この個体はしっかりと直されているようで、走行には支障がなさそうだ

ーー今回の物件を安いと感じた理由のひとつに「走行距離の少なさ」がありました。走行距離は少ない方が良いですよね?
 

岩本さん
Bose

これも一概には言えませんね。例えば10万kmを超えている個体でも、エンジンをオーバーホールしたり載せ替えしているものであれば、10万km以下の個体よりも調子がいいこともあります。

私がR32 GT-Rの中古車を仕入れるときは、走行距離よりも「直近まで走っていたかどうか」を重視します。よくある話なのですが、様々な事情で手放すことができずに長期間納屋で保管していたような個体は、走行距離が少なく一見良さそうですが、全くメンテナンスされておらず、ゴム類は硬化しシール類は劣化……乗り出すまでに膨大なパーツのリフレッシュが必要になります。このような物件はせっかく安く購入できても、すぐに大きなお金が必要になるので注意です。

ちなみに、車両の履歴を見るうえで「記録簿」は有効ですが、R32 GT-Rの中古車で過去の記録簿が残っていることは非常に希です。それでも直近2~3年くらいのものがあれば、最近まで動いていた証拠になります。また、車検有効期限のシールやオイル交換の履歴などでも簡易的に判断できますので、ぜひ実車確認の際はチェックしてみてください。

修復箇所 ▲カーセンサーで見たとおり、走行距離は約14.3万km。ちなみに、メーター類も純正のままで、チェックランプの点灯などはなかった
修復箇所 ▲エンジンルームのゴム系パーツは弾力が残っており、割と最近まで乗られていた車だと推測できる

ーー修復歴や走行距離など、価格にあまり影響のない要素はわかりましたが、逆にR32 GT-Rの中古車価格に大きく影響するのはどんなことでしょうか?
 

岩本さん
Bose

まずはグレードですね。後期型に設定されていた「Vスペック」や「VスペックII」は全般的に高値で取引されています。これらのグレード狙いだと、平均価格を下回る物件を探すのは難しいでしょう。

そしてこれはR32 GT-Rに限らず、古めのスポーツカー全般に言えることなのですが、低価格帯物件の中には「純正シートやカーペット、内張り」といった内装パーツが欠品しているものが多いです。これらがないと価格が下がることが多いです。ただし、購入後に欲しいとなっても絶版パーツが多く入手するのは困難、もしくはオークションサイトなどでかなり高価格で買わざるを得ません。

カスタム・改造・サーキットユースなどが前提であれば、ある意味お得に狙えると言えますが、内装パーツが付いているに越したことはありません。最安値帯の物件では特に注意してください。

修復箇所 ▲ステアリングや3連メーターも純正のまま
車内 ▲前後ともに純正シートがしっかり残っている点はGood! 破れや汚れもほとんどなくキレイな状態だと感じた。ヘタレなどもなく、座り心地は良好
トランク ▲トランクの内張りもそのまま残っていた。開けてみたら鉄板丸出しのものも多いようなので、チェックしたいポイントのひとつ

ーー他にチェックすべきポイントがあれば教えてください。
 

岩本さん
Bose

例えば、エンジンをかけてアイドリングにバラツキがあったりマフラーから煙が出ていないか、クラッチペダルやシフトの動きはスムーズかといった、基本的な機関系のチェックはしてみてください。

あとは、車の近くに寄ってキズの有無を確認するのも当然ですが、あえて離れたところから見て違和感がないかを見るのも忘れないでください。明らかに歪んでる個体もありますので。

このあたりは、他の中古車と同様ですね。

修復箇所 ▲運転席に座って各種ペダルやギアの入り方をチェック。引っかかりや異音などはなく、スムーズであった
修復箇所 ▲RB26のとってもいい排気音で笑顔に……。近くで見るのはもちろん、少し離れた位置から車のバランスに違和感がないかを見るのも大切だ
修復箇所 ▲細かい部分だが、パワーウインドウなどの電装類も問題なく作動した

結論

以上を踏まえ、今回の最安R32 GT-Rはどうだったのか考えてみる。

安い理由は、仕入れのタイミングや販売店の形態(整備工場の有無)によるところが大きく、なにか致命的な欠陥があるということは皆無。

ボディを中心に年式相応の傷みは見られたものの、ボロボロで使い物にならないということもなく、むしろ純正部品がしっかり残っていたり、直近まで動いていたような特徴が見られるため、お買い得感すら感じた。

総合的に判断すると、今回の物件に関しては「安かろう悪かろう」は当てはまらず、R32 GT-Rの中古車購入を検討している人は一度チェックすべき物件と言えるだろう。
 

 

購入後に注意すべきことも聞いてきた

ここまでは実車確認時にチェックすべきポイントを中心に紹介したが、購入後に注意すべきポイントも聞くことができたのでぜひ参考にしてほしい。

・どれくらいの金銭的な備えが必要?

岩本さん
Bose

購入金額にかかわらず、大抵の物件であれば常に20万~30万円くらいをいざというときのためのお金として用意しておけば大丈夫でしょう。ただし、エンジンブローなど大掛かりな修理が必要な場合は100万円くらいかかってしまうこともあるので、やはり物件の見極めが大切になってくるかと思います。

・メンテナンスや整備の頻度は?
 

岩本さん
Bose

お金と時間に余裕があるならば、購入時に気になるところをまとめてリフレッシュしちゃうのもありですが、この先1~2年位でダメになりそうな部分に限ってリフレッシュするのが良いかと思います。大抵は20~30万円くらいでできますので。

以降は、「今年の夏はブレーキまわり」「来年の夏はエンジンの補機類」のように、部位を絞って段階的にリフレッシュするのがオススメです。大事なのは、購入した瞬間からどんなメンテンスを施したかを把握し、履歴をしっかりと残しておくことです。そうすることで、「そろそろ〇〇をチェックした方がいいな」というのがわかり、計画も立てやすくなりますね。

・整備工場の選び方は?
 

岩本さん
Bose

もし、購入した販売店が自宅から近く整備工場も付帯しているのであれば、そこを主治医とするのも良いでしょう。しかし、もしも遠方で購入するのであれば、自宅近くで信頼できるショップを見つけるのをオススメします。気になることがあれば気軽に相談できるような環境を作るのが大切です。

▼検索条件

日産 スカイラインGT-R(R32型)×全国 ※価格昇順
文/編集部 神崎洋平、写真/篠原晃一、カーセンサーnet
神崎洋平

カーセンサー編集部

神崎洋平

小さい頃から車が好きで、中学生のころからカーセンサーを愛読。若者の車離れに一矢報いたいという動機で、2017年にカーセンサー編集部にやって来た。いままでの車歴は圧倒的にセダンが多いが、子供が生まれたことをきっかけにステーションワゴンのゴルフヴァリアントに乗り替え。これはこれで満足だが、いつか再びセダンに乗ることを企てている。