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フェアレディZとの出合いで人生が一変した大学生が語る旧車の魅力
2023/05/29
車の数だけ存在する「車を囲むオーナーのドラマ」を紹介するインタビュー連載。あなたは、どんなクルマと、どんな時間を?
半強制的に始まった旧車ライフがいつしか生きがいになった
高度経済成長期の末期、1969年に登場した初代フェアレディZは国産旧車のシンボルともいえる存在だが、今回ご紹介するオーナーのかずまさんは何とまだハタチの大学生だ。
愛車は外装やメカをはじめ、外装や内装に至るまで徹底的に手が加えられた、いわゆるコンクールコンディションに仕上げられている。
かずまさんが車の楽しさを知ったのは意外にも自動車免許を取得し、ドライブに行くようになってから。もともと旧車にはまったく興味がなかったという。
「あるとき父親とドライブに行ったんです。滝を見に行ったのですが、近くの駐車場に古いZとスカイラインが並んで止まっていたんです。その光景を目にした父がものすごいカルチャーショックを受けたようで。それまで車は『メルセデスのAMGが最高!』というような人だったのですが」
まるで電気に打たれたように旧車の魅力にのめり込んだお父さんは、何とすぐさまハコスカ(GC10型スカイライン)の中古車を購入してしまった。
当初、かずまさんはそのカッコ良さが理解できず、こんなやぼったいルックスの車に大枚をはたいて……と半ばあきれて見ていたが、さらにお父さんは「こっちはお前が乗りなさい」と2by2仕様のZ(S30型フェアレディZ)まで買ってきたのだという。
このZは「仕上げ済み」として売り出されていた個体だったが、エンジンはしっかり回らず、ボディのあちこちにさびが浮く。
お世辞にも良いコンディションとはいえなかった。
かずまさんはアルバイト代のほとんどを注ぎ込んでそれらを修繕し、モディファイすることに。オーバーフェンダーやマフラーをワンオフで製作し、ボディを塗り替え、シートや内装を張り替え、トランスミッションを換装し……次第に自分の思いどおりの姿へと生まれ変わっていくZに自然と愛着が芽生えたという。
「走っていると周囲に注目されるのがうれしいですね。自分よりはるかに年上の車好きや、外国人の方に話しかけられることも多く、それも楽しみのひとつです。いまではもっと綺麗に、もっとカッコよく仕上げて周囲の人に喜んでもらいたいというのがモチベーションになっています」
旧車に出合って人生が変わり、目標ができた
一見するとサーフィンでもやっていそうな風体だが、じつは根っからのインドア派。
以前は学校が終わるとすぐに家に帰り、とくにスマホゲームをやるか、寝ているだけの日々だったとか。ところが、このZを手に入れてからはライフスタイルが一変。
時間があれば愛車と外へ出かけるようになり、オイル交換などのメンテナンスもやるようになった。
いまは常に「車でこれをやってみたい」という目標があるという。ちなみに今度はZに荷物を積んでキャンプをしたいそう。
昨今のキャンプ場は個性豊かな車が多いが、さすがにこの手の旧車はお目にかかったことがない。とんでもなく目立ちそうだ。
SNSを通じて多くの車好きと交流するようになったのも大きな変化のひとつ。地域の若い車好きに呼びかけ、ちょっとしたミーティングイベントを開催することもある。
旧車はコンディションを保つだけで大変な労力が必要なので、基本的に他人のスタイルを否定することはないですとかずまさん。「お互いの愛車をとにかく褒めまくるので、愛車への『熱』がさらに高まります」と笑った。
「大きな目標としては、カスタムカーのイベントでアワードを獲得したいです。上には上がいるので現状でもまだまだなんです。昨今のカスタムカーの世界ではエンジンルーム内の配線を極力目立たないよう隠すのがトレンドなので、次はそこを着手したいです」
いまのところ、かずまさんの愛車はこの1台のみ。時にはお使いでスーパーへ買い物に行ったり、まだ高校生の妹さんを送迎することもあるそうな。
かずまさんのマイカーレビュー
日産 フェアレディZ(S30型)
●マイカーの好きなところ/乗っているだけで楽しく、いろんな人と知り合うツールになること
●マイカーの愛すべきダメなところ/維持費や修理費、カスタム費などめちゃくちゃお金がかかる
●マイカーはどんな人にオススメしたい?/いろいろいじって自分好みの車を作りたい人
インタビュアー
佐藤旅宇
オートバイ専門誌や自転車専門誌の編集記者を経て2010年よりフリーライターとして独立。様々なジャンルの広告&メディアで節操なく活動中。現在の愛車はボルボ C30と日産ラルゴ・ハイウェイスターの他、バイク2台とたくさんの自転車。この2年で5台の車を購入する中古車マニア。
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