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RCレース世界チャンピオンの広坂正美さん「小学生のときから僕にとってラジコンは“仕事”でした」
カテゴリー: クルマ
タグ: スペシャリストのTea Time / 河西啓介
2021/05/21
車で我々に夢を提供してくれている様々なスペシャリストたち。連載「スペシャリストのTea Time」は、そんなスペシャリストたちの休憩中に、一緒にお茶をしながらお話を伺うゆるふわ企画。
今回は、RCカーレースの頂点に輝いた、RCカードライバーの広坂正美さんとの“Tea Time”。
語り
広坂正美
ひろさか・まさみ/ 1970年2月26日生まれ。京都府出身。5歳のときに RCカーと出会い、7歳で参加したレースで初優勝、その後16歳で全日本チャンピオン、17歳でRCカーレーサーの頂点、世界チャンピオンを獲得。翌年18歳で競技用RCカーの模型製造・発売元のメーカー「ヨコモ」に入社し、以降世界規模の本格的レース活動を開始。39歳で引退するまでの総成績は世界選手権優勝14回、全日本選手権優勝53回を獲得。
7歳で出場したレースでいきなりデビューウィン
5歳のときにプレゼントでRCカーをもらって、それが初めての出会いでした。
父は若いころ、二輪の鈴鹿耐久レースで2位に入るほどモータースポーツにのめり込んでいて、その影響で僕もラジコンにすぐはまりました。
7歳のとき初めて出場したRCカーレースで、優勝しちゃったんです。それを機に父はRCカー製作の仕事を始めました。シャシーからタイヤまで全部自分で作り、そのマシンを僕が全国のレースで走らせて、勝ちまくりました。
すると宣伝になってRCカーが売れるんです。だから小学生のときから僕にとってラジコンは“仕事”でしたね。
実はその数年前に父が商売で詐欺にあって大きな借金を負い、一家離散状態になってしまって……。
でもラジコンがきっかけで家族がもう一度集まり、その稼ぎで借金を返していくことができた。だから僕にとってレースで勝つことは“使命”だったんです。
中野浩一さんの世界10連覇、具志堅さんの13回防衛が目標
1986年、16歳のときに全日本チャンピオンになり、アメリカで開催された世界選手権に挑戦したのですが、結果は散々でした。トップ10にすら入ることができず、世界のレベルの高さを痛感しました。
それからは寝る間も惜しんで猛練習しましたね。そして翌1987年のイギリス大会で初優勝。1988年のオランダ大会、1989年のオーストラリア大会……と連覇することができたのですが、勝てば勝つほどに「RCカー世界チャンピオン」が世の中ではあまり評価されていない……という現実に気づいたんです。
そこで「誰もが認める結果を残せば、もっと評価されるようになるのでは」と考え、目標にしたのが競輪の中野浩一選手が保持していた、世界選手権10連覇という記録でした。
その世界選手権10勝は1999年のフィンランド大会で達成することができたので、あらたな目標を具志堅用高さんのボクシング世界タイトル13回防衛に変更(笑)、それも達成することができ、2004年のアメリカ大会まで18年間、14度の世界チャンピオンを獲得することができました。
2009年に39歳で現役引退するまでに通算307勝しましたが、その後もローカルレースには出ていて、50勝ぐらいはしたかな。最終的に400勝は超えたいというのが、今の目標ですね。
強豪ワークスチームが競う“小さなモータースポーツ”
RCカーというと「オモチャみたいなもんでしょ」と思う人も多いと思います。
ですがホビーラジコンの世界選手権クラスになると、有力メーカーがワークス体制で参戦し、世界中から集った競合ドライバーたちがコンマ1秒を競い合う世界。
実車のレースと同様の繊細な操縦テクニック、ライン取り、駆け引きなどが求められる、まさに“小さなモータースポーツ”なんです。
実際プロのレーシングドライバーやライダーの方でも、RCカーにハマっている人は多いんですよ。今や子供の遊びといえばネットやテレビゲームなど“バーチャル”なものが主流ですが、対してラジコンってのはアナログであり“リアル”なんです。
壁にぶつかったら壊れるし、壊れたら直さなきゃならない。そういう当たり前のことを子供たちに知ってほしいし、伝えていくのが僕の役目かなと思っています。
いまコロナ禍にあって、ステイホームでも楽しめるRCカーは結構な人気なんですよ。子供が車に興味をもたなくなった、といわれる時代ですが、ラジコンをきっかけに興味をもってくれたら、という思いもあります。
親子で一緒にマシンを組み立てたり競い合ったり……コミュニケーションツールとしてもすごくいいと思いますよ。
※情報誌カーセンサー 2021年7月号(2021年5月20日発売)の記事「スペシャリストのTea Time」をWEB用に再構成して掲載しています
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