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【三菱SUV対決】アウトランダー最安価グレードVS三菱 エクリプスクロス最上級グレードで選ぶべきはアウトランダーだ!
- 筆者: 青山 尚暉
- カメラマン:茂呂幸正
三菱は特にSUVファンから支持されているブランドだ。フラッグシップモデルのアウトランダーは現行モデルで3代目。先代から人気のあるPHEVモデルのみという大胆なグレード構成となった。弟分のエクリプスクロスにもPHEVモデルが存在し、アウトランダーPHEVのベースグレードとエクリプスクロスPHEVの最上級グレードの価格差は14程度となる。
となると、価格で比較すれば十分ライバルとして検討される余地がありそうだが、果たしてどちらが利便性に優れているのだろうか。装備やシート、荷室の使い勝手の面からジャーナリストの青山尚暉さんに解説してもらった。
アウトランダーPHEVのエントリーグレードとエクリプスクロスPHEVの最上級グレードでは約14の差がある
いよいよ3代目に進化した三菱 アウトランダーが発売された。しかも新型はPHEVのみの展開で、ダイナミックシールドを進化させた堂々たるボディサイズに7人乗りも設定。大径20インチタイヤ&ホイールで足元を引き締め、アウトランダー初の2トーンカラーも用意。先代と比較すればクラス的には2クラス上の存在感を放つ。
パワートレーンは先代からの2.4Lガソリンエンジンの改良版としつつ最高出力は5馬力増しの133馬力。フロントモーターは60kWから85kWに、リヤモーターも70kWから100kWにパワーアップ。さらに駆動用バッテリーも13.8kWhから20kWhへと増強している。
そんな新型アウトランダーPHEVのベースグレードとなるMは5人乗りのみの設定で、価格は462万1100。大型クロスオーバーモデルのPHEVとしてはなかなかリーズナブルに思える。
が、待てよ、アウトランダーの弟分であるエクリプスクロスのPHEVの価格は、最上級のPグレード(4WDのみ)だと447万7000。なんとアウトランダーPHEVのほうが14万4100高くなるのである。三菱のPHEV、SUV狙いの人にとって、これは悩みどころだ。
居住空間ではスペースにゆとりのあるアウトランダーが有利!
が、アウトランダーとエクリプスクロスでは、同じPHEVモデルとはいえクラスが違う。そこで両車の室内空間、荷室の広さを比較してみたい。
アウトランダーPHEVは前席のシートサイズが座面長535mm×座面幅500mm×シートバック高660mm。
後席(2列目席)は同480mm×1290mm×660mm。特に前席の自然で上半身を包み込むホールド感に優れたかけ心地は絶品と言っていい。
居住空間は身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で前席頭上170mm(サンルーフ装着車。非サンルーフ装着車は240mm)、後席頭上170mm、膝周り250mmとかなりゆったり。後席の着座性、立ち上がり性にかかわるヒール段差(フロアからシート座面先端までの高さ)は330mmだ。
一方、エクリプスクロスPHEVは前席のシートサイズが座面長530mm×座面幅470mm×シートバック高640mm。後席(2列目席)は同480mm×1275mm×640mm。
前後席ともにシートはボディサイズも影響して、やや小ぶりになる。ヒール段差は350mmと、意外にもアウトランダーPHEVより高く、着座性、立ち上がり性でやや優位。居住空間は前席頭上190mm(サンルーフなし)、後席頭上130mm、膝周り190mmと、明らかにアウトランダーPHEVのほうが広い。とはいえ、後席膝周りの190mmは大人でも足が組める広さではある。
ラゲッジも大きな荷物を乗せるならアウトランダーの方が優勢だ
両者ともにSUVだけにアウトドアなどに出かける機会も多いはずで、アウトドアやキャンプの荷物の積載性にかかわるラゲッジルームの広さも比べてみよう。
アウトランダーPHEVは重い荷物の出し入れ性にかかわる開口部地上高780mm、フロア奥行き970mm(3列シートの3列目席格納時のデータ)、幅1070mm(同)、天井高980mm。
一方、エクリプスクロスPHEVは開口部地上高760mm、フロア奥行き890mm、幅1000mm、天井高740mmで、さすがに容量としてはアウトランダーPHEVに敵わない。大きな荷物を満載するような使い勝手では、アウトランダーPHEVが有利なことは間違いないところだ。
また、2~3名乗車で後席を倒したときの拡大ラゲッジフロア長はアウトランダーPHEV(3列シートの3列目席格納時)が970mmで、完全にフラットなフロアになる。
エクリプスクロスPHEVはと言えば、スライド機構のなくなった後席格納時のフロア長は1500mmに達する。ただし、段差こそないものの、後席格納部分にやや角度がつく。
アウトランダーPHEVとエクリプスクロスPHEVのラゲッジルームの条件を合わせるため、アウトランダーPHEVの3列目席を床下格納した状態での容量はアウトランダーPHEVが最大646L(3列目席使用時は最大284L)、エクリプスクロスPHEVが359L(ガソリン車は405L)と、大きな差がつく。フロアというより、高さ方向の違いがモノを言う感じである。
装備面はほぼ変わらないが新しい機能も満載で最新型のアウトランダーの方が一枚上手
では、アウトランダーPHEVのベースグレードとなるMと、エクリプスクロスPHEVの最上級グレードのPでは、装備的にどう違うのだろうか。機能面ではアウトランダーPHEVの場合、アダプティブLEDヘッドライト、LEDリヤコンビネーションランプなどは全グレードに標準装備。
インパネ周りではフル液晶ドライバーディスプレーや本革巻ステアリング、本革巻シフトノブ、左右独立式フルオートエアコン(3ゾーンはPグレードのみ)、スマホ連携の音声認識9インチナビゲーションが標準装備される。
シートはファブリックとなり、運転席はマニュアルシートだが、シートヒーターは助手席とともに装備される。
なお、e-Assistと呼ばれる先進運転支援機能については、全車同じ内容であり、グレードによる差はない。
一方、エクリプスクロスPHEVの機能面では、最上級のPグレードともなればLEDヘッドライト、LEDリヤコンビネーションライトなどを標準装備。インパネ周りはメーターがハイコントラストメーターにとどまるものの、本革ステアリングが備わり、シフターはジョイスティックタイプとなる。
スマホ連携ナビゲーションは8インチ。エアコンは左右独立のフルオートエアコンが採用されているのだが、アウトランダーPHEVと違い、後席エアコン吹き出し口は用意されない。
シートはスウェード調×合成皮革が標準で、もちろんパワー。本革シートは20万9000のオプションとなる。前席左右のシートヒーターも標準装備である。
e-Assistと呼ばれる先進運転支援機能については、アウトランダーPHEVには踏み間違い衝突防止アシストや車線逸脱防止支援機能、前方衝突予測警報、後方衝突被害防止支援システムなどが追加装備される。
より新しく、三菱のフラッグシップモデルだけあるアウトランダーPHEVのほうが充実していることは間違いないところである。
2台で悩むならベースグレードでもアウトランダーを選ぶべき!
というわけで、例えベースグレードでも、機能装備、先進運転支援システムの充実度、そして居住空間やラゲッジルームの広さでは、アウトランダーPHEVのほうが上回ることが分かる。
エクリプスクロスPHEVの最上級Pグレードに本革シートをオプション装着すれば、アウトランダーPHEVのベースグレードのMより約35も高くなってしまうのだから、考えものである。
アウトランダーPHEVのグレードを問わない大きく進化した乗り心地、動力性能、静粛性、走破性、快適性、装備、ラゲッジルームの広さからすれば、ベースグレードでもアウトランダーPHEVを選びたくなる、というのが筆者の結論である。
ただし、緊急席的で乗り降りも大変な3列目席が不要の筆者がアウトランダーPHEVを買うなら、ベースグレードに28万3800を上乗せして迷うことなく中間グレードの「G」(490万4900・5/7人乗り)の5人乗りを選ぶ。
Mには装備されない人工皮革×合成皮革のコンビネーションシート、運転席パワーシート、リヤウインドーのロールサンシェードに魅力を感じ、BOSEサウンドシステムも選べるからである。
【筆者:青山 尚暉】
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学生時代はプロミュージシャン、その後自動車専門誌2誌の編集を経てフリーのモータージャーナリストに。現在は自動車業界だけでなく、愛犬のラブラドールとジャックラッセルとともに、愛犬との快適で安全なクルマ旅を提案するドッグライフプロデューサーとしても活動中。また、クルマのパッケージを寸法で比較するため、独自の計測ツールを開発。1台につき25項目以上を詳密計測。実用性の目安として、記事中で展開している。現在、自動車用純正ペット用アクセサリーの企画、開発も行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。記事一覧を見る
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