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知られざる中国「改造車」の世界! 厳格な車検制度も規制緩和の傾向へ LB(リバティウォーク)やエンドレスなど日本ブランドも大人気だった!
- 筆者: 加藤 久美子
急速なモータリゼーションの進展がみられる中国は、いまやアメリカを抜き世界で最も自動車を販売される国となった。中国では日本以上に厳しいとされる車検制度が整備される中、中国での“改造車”いわゆるチューニングカーやカスタムカー事情はどうなっているのだろうか。ランエボやインプなどの日本製スポーツモデルは希少なため、大人気だという。
意外!? 中国での車検制度は超キビシかった! ~近年は規制緩和の傾向に~
2009年にアメリカを抜いて世界でもっとも新車が売れる国となった中国。その後も新車販売台数は世界一をキープ。2020年はコロナ禍で自動車生産を停めていた工場があったり、輸入を制限していた時期もあったりしたが、それでも販売台数は2500万台を突破した。日本よりも約2000万台、アメリカより約1000万台も多い数字だ。
このように今、中国はモータリゼーションの真っただ中であるが、同時にカスタム&チューニングの世界も急速に拡大、発展しつつある。その大きな理由のひとつに2014年の車検制度改正がある。
中国は日本やアメリカと違って、クルマをカスタムすることやチューニングすることに対して非常に厳しい規制がある。新車登録時に提出する書類にはクルマの写真を添付するが、車検の際、エアロパーツをつけたり、ローダウン化したりで新車時の状態と変わっていたら車検をパスすることが難しくなる(厳密には1ミリも変わってはいけない)。
驚くことにボディカラーですら変更不可なのである。
厳しすぎた車検制度が2014年より大幅に緩和! 2年に1度の車検が新車なら6年まで延長に
その厳しい車検制度が、2014年から大幅に緩和された。乗用車の場合、新車時から製造6年まで、2年に1回だった車検がなんと6年に延長! 車齢6年~10年までのクルマも1年に1回→2年に1回に延長されている。新車から6年までのカスタム&チューニングが以前よりもはるかにやりやすくなったのだ。
ただ実際には街中を改造車で走っていると警察に停められることもあり、違反と分かると不正改造に対する罰金の支払いと整備命令書のようなものが出される。指定の検査所で新車登録時のノーマル状態に戻すことが命じられるのだ。
日本でも街頭検査(通称:無料車検)などでチェックを受けた不正改造車には「整備命令」が出されるがそれと似たような制度だと言っていいだろう。
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2021年5月に開催! 中国・蘇州で行われた「蘇州GTショー」が凄まじい盛り上がりだった
『蘇州GTショー』というオートカルチャー&産業博覧会を名乗るイベントをご存知だろうか? ひと言で言うと、“東京オートサロン”のようなイベントである。
2021年は中国江蘇省蘇州市にある蘇州国際博覧センターで5月28日(金)~5月30日(日)の3日間開催された。
来場者の4割以上は業界関係者で、出展される600以上のブランドの6割以上が海外ブランド。会場内外に800台近い改造車両が出展された。中国最大級のカスタムカーイベントだ。
GTショーを主催しているのは、チューニングメディアとして有名な「改聯(GTUU.COM)」である。この自動車メディアはチューニング文化やカーレース、インテリアやミニバンのカスタム化、オートバイ文化、ドライブや旅行、自動車の生活関連商品等の「クルマのあるライフスタイル」の情報発信を行い、中国ならではの健全な自動車文化発展を推し進めている。
蘇州GTショーに出展する現地のチューニングメーカーに話を聞いてみた
このGTショーに新旧2台のチューニングされたホンダ シビックを出展したSpirit-Z Co., Ltd.の孫正社長に昨今の中国改造車シーンについて話を聞いてみた。
筆者:中国で今、若者たちに人気のあるクルマは?
孫正社長:中国では改造車に対する規制が厳しいこともあり、最近ではメーカーが発売した特別仕様車やコンプリートカーに人気が集まっています(車検適合の純正カスタム&チューニングカーという位置づけ)。
中国吉利汽車の子会社であるLynk&coが手掛ける高性能車『Lynk & Co03 2.0t』は4輪駆動の4ドアセダンで、まだ物足りないところも多いですが、注目を集めています。
また、オフロード車も人気があります。上海モーターショーで発表された長城のオフロード車、『タンク300』の改造版である『サイバーパンク』は3,000台限定で発売されましたが、出展した当日に完売となりました。
日本車は中国でも大人気! ただしランエボやインプなどのスポーツモデルの中古車は滅多に出回らず超希少
筆者:日本車の人気はいかがでしょうか?
孫正社長:中国では日本製スポーツカーの数がとても少ないのです。中国は中古車の輸入を認めていないため、中国で購入できる日本車は中国国内で新車時から販売されたクルマのみとなるからです。実際、中国でリリースされた日本製スポーツカーは種類が少なく、市場で見つけるのは至難の業です。
良質の三菱ランサー(CT9A:ランサーエボリューションVII~IX)が市場に出回っていますが販売価格は最高50万元以上(約850)、スバルインプレッサSTIバージョン(GDB)は70万元以上(約1100以上)にもなり、さらにこれに改造費用がかかります。
中国では日本車の純正カスタムコンプリートカー導入を熱望していた!
孫正社長:また、車両代金や改造費用が高額であることに加え、日本車のチューニングには高度な専門知識が必要です。それでも、日本製スポーツカーは人気がありますね。価格も高く、タマ数も少ないので入手するのはなかなか大変です。理想を言えば、日本の自動車メーカーが新しいコンプリートカーを中国で発売してくれることですね!
中国も近年は改造車に対する規制緩和も進んできた模様
近年は、中国における改造規制も徐々に緩和されているという。とくに、外観に影響しないブレーキ周りやECUなどのパーツは交換が認められるようになった。
エアロパーツも極端なワイドボディはNGだが、外観にあまり影響しない程度なら認められる(というより、警察が見逃してくれる?)例も増えているという。LB-WORKS(Liberty Walk:リバティーウォーク)やエンドレス、TEIN(テイン)など日本ブランドの人気も高まっている。
世界一の自動車市場である中国のカスタムシーンがどう進化、発展していくのか? これからも目が離せない!
[筆者:加藤 久美子]
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山口県下関市生まれ 自動車生活ジャーナリスト 大学時代は神奈川トヨタのディーラーで納車引き取りのバイトに明け暮れ、卒業後は日刊自動車新聞社に入社。出版局にて自動車年鑑、輸入車ガイドブック、整備戦略などの編集に携わる。95年よりフリー。2000年に第一子出産後、チャイルドシート指導員資格を取得し、チャイルドシートに関わる正しい情報を発信し続けている。 得意なテーマはオリジナリティのある自動車生活系全般で海外(とくにアメリカと中国)ネタも取材経験豊富。愛車は22年間&26万km超の916アルファスパイダー。記事一覧を見る
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