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SHAREホンダ「ドリーム号」第2世代は精密メカのオーバーヘッドカムシャフトを搭載
ホンダ初のOHCエンジン、250ccクラスの本格的フルサイズが新登場
ホンダのバイク第1号車とされているのは、1949年に発売された「ドリーム号」です。初期型の「D型」は2ストロークエンジンでしたが、モデルチェンジした「ドリームE型」では4ストロークOHV(オーバーヘッドバルブ)エンジンを搭載しました。今回はこの「ドリーム」シリーズの第2世代目となる「ドリームSA型」について紹介します。
【画像】ホンダ「ドリームSA型」(1955年型)の詳細を画像で見る(12枚)
1951年にサンフランシスコ平和条約が結ばれて国際的に日本の戦争状態が終結しました。各産業の生産拡大や政府の税制優遇措置などの効果もあり、国内の経済が発展していきます。
戦後復興時には自転車にエンジンを取り付けていた国内のバイク市場でしたが、経済発展とともに大型でより高出力な本格的なバイクの需要が高まります。
この時期に、免許制度などの都合により排気量帯に区分けがはじまります。ホンダでも排気量125cc以下は「ベンリイ号」、それより大きなバイクは「ドリーム号」というラインナップができました。
「ドリーム号」は年間3万2000台を売り上げ、「ベンリイ号」の好調な売れ行きもあって、ホンダは1953年にはバイクの生産台数国内第1位となります。
そんなヒット作となった「ドリーム号」の第2世代として生まれた「ドリームSA型」は、前後サスペンションを備えた重量感のあるスマートなプレスバックボーンフレームを採用しています。
鋼板をプレスで成形し、その部材を溶接で組み立てたプレス式フレームは頑丈な構造で、低重心による安定感をアピールしていました。
さらにエンジンの高出力化を望む声に応え、最新技術であるホンダ初の「OHC(オーバーヘッドカムシャフト)」エンジンを搭載しました。
ここで4ストロークエンジンの構造についてですが、内燃機関と呼ばれるエンジンは、シリンダーと呼ばれる筒の中に霧化したガソリンと空気を溜めて点火プラグで火をつけます。その燃焼する勢いがピストンを押し、押されたピストンはクランクで回転運動に変わります。
シリンダーは1回燃焼するごとに新しいガソリンと空気を吸い込み、燃焼して吐き出します。燃焼する際には密閉している方がピストンを押す力が強くなるので、吸い込み→密閉→燃焼→吐き出しを繰り返します。
4ストロークエンジンの場合は、この吸い込み口と吐き出し口を開けたり閉めたりしているのが、吸気バルブと排気バルブです。いわゆる開閉弁です。
「ドリームSA型」のエンジンは1分間に5000回転するので、その開閉弁は凄まじい速さで開けたり閉めたりしていることが想像できます。この時に、正確に弁が開閉しないと、十分に吸い込めなかったり、せっかく吸い込んだガソリンの燃焼エネルギーが逃げてしまいます。
今も昔も、エンジニアにとっては開閉弁の正確な動きは最高出力に直結する重要な課題で、「ドリームSA型」が採用したOHCというシステムは、当時「精密」と表現されるほど、大量生産車としては最新の技術でした。
「ドリームSA型」の4年前に登場したホンダ初の4ストロークエンジンはOHVです。開閉弁はエンジン上部にあって効率良く圧縮ができますが、エンジン中央部から棒を使って開閉弁を押しているので、動きの精密さではOHCに負けます。
OHCはエンジン上部に開閉弁を動かすカムシャフトを置いて、開閉弁により近い距離で動きを管理します。このような精密な部品を大量生産できたのは、ホンダが導入していた最新の輸入工作機械を駆使していたからでした。
「ドリームSA型」には車体を共用した排気量344ccの兄弟車「ドリームSB型」がありました。
画期的なOHCエンジンを搭載し、まさに「新生ドリーム号」としてデビューした「ドリームSA型」ですが、エンジンは当然単気筒です。そして技術の進歩の早さを象徴するように、2年後の1957年には2気筒OHCエンジンを搭載した後継車「C70」が登場するのです。
なお、ホンダコレクションホールに展示されていた撮影車両の正式な年式は1956年です。
■ホンダ「ドリームSA型」(1955年型)主要諸元エンジン種類:空冷4ストローク単気筒OHC総排気量:246cc最高出力:10.4PS/5000rpm車両重量:171kg(乾燥)最高速度:100km/hフレーム形式:プレスバックボーン
【取材協力】ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)※2023年12月以前に撮影
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